≪詳細≫
・消費者金融(キャッシング)の契約は、三文判による契約でも有効になるか?
消費者金融(キャッシング)との契約が、本人の意思にもとづいているのであれば有効です。
ハンコには、実印、銀行印、認印(三文判)などがありますが、大きく分けると、実印と認印に分かれます。
実印とは、住民登録している市町村役場に印鑑登録※し、その印鑑の印鑑証明書が発行される印をいいます。また、認印は、実印以外の印をいいます。
※法人の実印は、法務局に登録します。
契約自体は、原則として「申込み」と「承諾」によって成立しますので、一部の契約以外は、特別の方式等※1は要求されていません。
よって、契約書は必ずしも必要ではありません。
このような当事者の合意だけで成立する契約を諾成契約といいますが、これは契約書の作成がなくても契約の成否には影響しません。また、消費貸借契約の場合には、当事者の意思の合致だけでなく、目的物の交付も契約成立の要件※2になってきますが、この場合にも、契約書の作成がなくても契約の成否には影響しません。
※1特別の方式が必要なものとしては、書面作成を必要とする保証契約などがあります。
※2契約成立に物の給付が必要な契約を要物契約といいます。
それは、当事者の合意の存否が争われたときや、商品や支払等の契約内容について後日疑義や紛議が生じたときに、口頭だけでは、契約内容を証明する証拠が残らないという問題がでてくるからです。
ですから、後々の紛議などに備える目的で、契約内容を文書にしておくことはとても重要なのです。
契約書とは、この契約内容を文書にしたものをいいます。通常、契約書は、契約当事者双方が、署名押印して取り交わすのが一般的です。
多くのクレジット契約は、利用者だけが署名押印し、契約書(申込書)をクレジット会社等に差し入れる方式をとっていますが、この場合でも、契約の効力という点では、何ら問題ありません。
実際上、市販の三文判で捺印された契約書というのは、実印に比べて、契約の成立と内容に関する紛議等に備えて立証手段を確保するうえではやや劣りますので注意が必要です。
民事訴訟では、契約書や申込書などの文書の記載内容が、真実のものであるという証拠能力をもつためには、その文書が作成者の意思にもとづいて作成されたということが必要です。
これは、民事訴訟法で、私文書に本人または代理人の署名または捺印があるときは、その文書は真正に成立したものと推定するとしているからです。
さて、印鑑は他人が押印することもできますので、捺印があるからといって当然に本人の捺印とは限りません。
ただし、取引においては、通常他人の印鑑を無断で使用するということは少ないですから、判例上は、本人の印鑑が用いられて捺印されている場合には、本人の意思にもとづいて捺印されていることが事実上推定されています。
この場合も、認印の場合は市販されているわけですから、実印よりも説明力では劣ることになります。
これが、実印であれば、印鑑証明書によって本人の印鑑であることが比較的容易に証明できますし、通常実印はきちんと管理され、他人に預けることもまれなので、本人の実印で捺印がされていることが証明されれば、文書が真正に成立したという推定を破ることは難しいでしょう。
しかしながら、市販の三文判の場合には、本人の印鑑であることの証明は難しいですし、仮に本人のものであることが証明できても、他人に預けていたとか、他人に使われてしまったといった反証がなされることも少なくありません。
よって、市販の三文判で捺印された契約書の場合には、契約の成立と内容に関する紛議等に備えて立証手段を確保するということでは、やや劣りますので、ご注意ください。
契約で一番大切なのは、当事者に契約の意思があるかどうかです。
たとえ、契約書に実印が押されていて、印鑑証明書が添付されていたとしても、当事者本人が自らの意思で押したものでないことが証明されれば、契約は無効になってしまうからです。
契約を締結する際に、面接で本人確認や意思確認がとれるものは問題ないですが、面談での本人確認や意思確認がとれない場合には、与信会社から再度本人に意思確認を行なっていると思われます。
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